制作進行状況を正直に伝えることについて

公開日: 2026年10月7日

制作進行状況を、NEWSページで隠さない理由

FOLKLORICAのNEWSページには、公開済みの作品と並んで「制作中」という表示がいくつも残っている。この制作進行状況は何カ月も変わらないままの項目もあり、本来ならそこだけ隠してしまう方が見た目は整う。それでも、この制作中の表示を消さずに置いておくことを選んでいる。

「完成してから出す」を選ばなかった理由

作品が完全に仕上がった瞬間だけを切り取って発表する方法もある。その場合、進行中の時間はすべて見えないまま過ぎていく。FOLKLORICAでは、完成までの時間そのものも図書館の一部として扱い、途中の状態を見せることを制作の方針に含めている。

「甘い毒」も「神話になれなかった僕へ」も、今はまだ制作中の一冊

works.htmlを開くと、「甘い毒」や「神話になれなかった僕へ」は、音源や小説が未完成のまま「制作中」として並んでいる。先に公開されている「Grisaille―鈍色に咲く」や「ラグナログ」と同じ書架に、まだ完成していない作品名を隠さずに並べているのは、完成した作品だけを図書館として見せることが、この場所の実態ではないと考えているからだ。

止まっている期間を隠すと、何が失われるか

進捗が止まっている時期をなかったことにすれば、次に動き出したときだけが唯一の情報になる。待っていた側からすれば、長い沈黙の後に急に何かが現れるという経験しか残らない。その沈黙の内側に何があったのかを伝える手段を、あらかじめ断ってしまうことになる。

「制作中」は、ごまかしのための言葉ではない

「制作中」という表示は、具体的な説明を避けるための言葉として使われることもある。FOLKLORICAではこの言葉を、進んでいる事実と進んでいない事実の両方を同時に示すために使い、何も決まっていないわけではなく、まだ公開できる形になっていない状態を正確に表す言葉として扱っている。

語られなかった物語を掲げるプロジェクトが、自分の時間を隠してはいけない理由

FOLKLORICAは、語られなかった物語や忘れられた記憶に灯をともすことを掲げて始まったプロジェクトだ。その立場に立ちながら、自分自身の進んでいない時間だけを都合よく消してしまえば、掲げている出発点と制作の進め方が矛盾してしまう。だからこそ、進んでいない期間もひとつの記録として残すことを選んでいる。

大きな進展がない時期にも、更新だけは止めない

大きな進展がない時期でも、NEWSページの更新を完全に止めることはしない。曲の構成が固まっていなくても、色の方向性だけが決まっていることもある。その小さな決定を言葉にして残すことが、何も起きていないように見える期間と、実際に起きていた判断の差を埋めている。

見せてよいところと、まだ見せられないところ

進行中の情報には、公開してよい部分とまだ早い部分がある。タイトルや世界観の方向は早い段階で共有できるが、物語の結末や歌詞の具体的な言葉は、読者・リスナーが実際に作品に触れる体験を薄めてしまうため、先に明かさない。この線引きは、誠実さと作品を守ることの両方を保つための判断になっている。

待っている人に、何を約束できるか

公開の日付を先に約束することは基本的にしない。制作の進み方は曲や物語によって違い、無理に期限を切ることが品質を落とす判断につながりやすいからだ。代わりに約束できるのは、進んでいないときはそう伝え、進んだときには小さくてもその分だけ共有するという、更新の姿勢そのものになる。

図書館の灯りを消さないという約束

制作中の作品は、まだ開かれていない書架の一冊として図書館の中に置かれている。その背表紙だけを見せ続けることも、誠実さの一部になる。次の更新がいつ届くかは、NEWSページに置かれた図書館の灯りを見に来るたびに、少しずつ確かめられるようにしている。

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