
部活動のガールズバンドを描いた曲に、あえて「英雄」という大きな言葉を選んだ。
普通の私たちが、自分たちだけの伝説を鳴らす。そのギャップこそが、このタイトルの核にある。
愛機“エクスカリバー”という名前も、そのギャップを強調するための選択だった。
円卓の騎士のように支え合う、という比喩は、大げさに聞こえてちょうどいいくらいだと思っている。
選ばれなくても、英雄になれる。それを信じられる瞬間が、ステージの上にはある。
この曲は、Grisailles全6曲の中で唯一、明確に「今」を生きる普通の人間たちを描いている。
神話や終末を扱う他の5篇と並べたとき、この曲だけが持つ体温の高さが、アルバム全体のバランスを取っている。
エクスクラメーションマークを2つ重ねたタイトルの勢いは、制作中何度か削ろうかと迷った。それでも残したのは、この曲の主人公たちが持つ、少し不器用な熱量をそのまま伝えたかったからだ。
メンバー同士の掛け合いのセリフは、実際の部活動のバンドを取材したわけではなく、あくまで想像で書いている。それでも嘘っぽくならないよう、専門用語を使いすぎない、という制約を自分に課した。
「WE'RE HEROES!!」という英語タイトルにした理由の一つは、日本語のタイトルにすると、どうしても説明的になりすぎてしまったからだ。英語の勢いのまま残すことにした。
この曲だけ映像化の構想がまだ無いのは、ステージ上の熱量を映像で再現する難しさを感じているからだ。音楽だけで届く熱量を、無理に映像に翻訳しない選択も、今のところ正しいと思っている。
この曲を作っている間、FOLKLORICA全体のトーンが少し重くなりすぎていないかを確認する役割も、この曲が担っていた。神話や終末ばかりでは、世界観が一方向に偏ってしまう。
タイトルの熱量に見合うだけの明るさを歌詞に持たせられているか、完成した今でもときどき聴き返して確かめている。
メンバーそれぞれの楽器パートは、実際のバンド編成を参考にしつつ、FOLKLORICAの世界観に合わせて名称だけを変えている部分もある。
愛機に名前をつけるという発想自体、他の登場人物たちが持つ「語られなかった物語」というテーマと、静かに響き合っていると思っている。
この曲のタイトルを最初に思いついたのは、実は制作の一番最後、歌詞がほぼ固まった後だった。曲の勢いに、後から言葉が追いついてきた、数少ない作品の一つになっている。
次にこの熱量に近い曲を作るときも、言葉より先に勢いを固める、という同じ順番を試してみたいと考えている。
タイトルに込めた願いは単純で、聴いた人が自分自身を少しだけ英雄だと思えること。それ以上の説明は、この曲には要らないと思っている。
この曲を作り終えたとき、初めて自分自身が少し励まされたことを覚えている。誰かのために書いたはずの歌に、自分が救われることもある。